【FF14】新生エオルゼアから漆黒のヴィランズまでの感想2_蒼天のイシュガルド

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前回感想 新生エオルゼア

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漆黒のヴィランズShadowbringersのメインシナリオが一段落したことに伴い、各大型アップデートの感想を上げている。

今回は蒼天のイシュガルドHeavensward。本作はFF14新生エオルゼアの初の拡張ディスクとして2015年6月に発売された。
2021年9月現在では、最新拡張パッケージを購入すれば自動的にメインクエスト群やコンテンツが解放されるため、本作のみを購入する必要はない。また無料体験版フリートライアルでは、蒼天のイシュガルドをクリアするまでのメインクエスト、各種コンテンツの一部を楽しむことができる。

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※各シナリオについてネタバレに触れる可能性があります。未クリアの方はご注意ください。



失意からの再起、竜詩戦争

「暁の血盟」は、謀略によって輝きを失い乱離した。
そして、堕ちた英雄は、追われるように北を目指す。
北方の地「クルザス」──
盟友に助けられたあなたは、固く閉ざされていた皇都「イシュガルド」の門を開く。
ドラゴン族との果てなき戦いを続ける千年の都で、冒険者を待つ試練とは……。
汝の旅に幸あれ。
冒険者に、再びクリスタルの導きあらんことを……。

ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド


各国の協力の基、帝国やアシエンらの陰謀を打ち砕いたかに見えた暁の血盟と主人公だったが、三国を巡る謀略に巻き込まれ一転終われる身となる。
行き場を失った彼らを受け入れてくれたイシュガルドのフォルタン家の元で暁の血盟の再起を図ると共に、イシュガルドで千年続く竜詩戦争の歴史の真実を知ることになる。


キャラクター、テーマ、音楽が見事に調和した魅力的なメインシナリオ

世界観を広げる空をモチーフにした美しいエリア群、逆境からの成長を基調とした物語で背景と魅力を深掘りされていく暁の血盟たち、荘厳な宗教国家に隠された歴史を巡るサスペンス、そして人間と竜という異種族間における復讐と融和の歩みなど、複数のプロットと対立軸が交差しながら進むストーリーは奥行きがあり、「新生エオルゼア」から格段の前身が随所に見られる。

特に、脇を固めるキャラクターたちが素晴らしい。失意の光の戦士らを暖かく受け入れたオルシュファンとフォルタン家、若くして国と自身の運命を背負うアイメリク、言葉は辛辣でも兄のようにアルフィノを見守るエスティニアン、理想と現実の狭間で為すべきことを探すイゼル等々、脇を固める役者それぞれ魅力があり、厚みのある物語となっていた。
イシュガルドと敵対する竜たちも一枚岩ではなく、傲慢、不遜、慈愛等様々な感情を持ち、生きる年月と持てる力の違いから生まれる人間との歴史認識の差は、物語の哀しみに深みを与えている。

これらのシナリオに伴奏するBGMも荘厳かつ壮大で、宗教と歴史をテーマとしたプロットに説得力を持たせていた。

FF14のシナリオの中でも完成度に優れ、拡張パッケージにおけるシナリオのうち、本作を最も推すプレイヤーも多いのではないだろうか。

新生エオルゼアから進化した様々な工夫

個人的に「新生エオルゼア」では世界観の説明が重視されており、解説的意味合いを含んだクエストが目立ったように思う。
蒼天では、光の戦士たちは地位や名誉を失墜し、国家の後ろ盾や仲間の協力も得られない亡命者として舞台が幕を開ける。クエストには光の戦士と暁の血盟の再起の物語として意味が与えられ、メインシナリオを進める楽しみへとつながっている。
とりわけ大きな挫折を味わったのはアルフィノであり、彼の成長は後の「暁月のフィナーレ」ラストへと至る重大な最後の鍵となる。信頼できる仲間と掲げた理想を守るため、周囲の意見を聞き、態度を少しずつ変化させていく彼と、その様子を見守るエスティニアンの姿はとても好感が持てる。

新生において暁の血盟はエオルゼアに元々存在した組織であり、光の戦士はそこへ後から加わった存在である。ルイゾワの意思やシャーレアンでの学びを共有する旧メンバーとは、背景が違うためどこか「客人」的立場であったように思う。
しかし本作では、アルフィノ光の戦士はと共に仲間を一人ずつ探しだして行く。この過程において、光の戦士は真の意味で暁の血盟となったように思う。

FF14において、感情移入しながら応援できる本当の意味での「キャラクター」たちを生み出したのは本作と言える。この点は本作の最大の功績に違いない。


コンテンツの評価

新たなジョブとして暗黒騎士、占星術師、機工士が解放される。三闘神をはじめとした極蛮神、24人アライアンスレイドのシャドウ・オブ・マハシリーズ、初の8人レイドである機工城アレキサンダーが解放されるなど、バトルコンテンツも充実している。ギャザラー・クラフターではお得意様取引シロ・アリアポーが解放され、クラスクエスト以外のレベリング手段も充実する。

Tankロールで遊ぶプレイヤーは、IDのコンセプトが変化したことに気づくだろう。
「新生」のダンジョンは分かれ道が多く、宝箱の配置やダンジョン中のギミックが複雑だった。敵を避けるにはどのルートを選べばいいのか、分かれ道の先には何があるのか等、探索を楽しむためのダンジョンという作りだった。その反面、先導役のTankはあらかじめマップのルートを予習する必要が生じるなど、新規のプレイヤーにとってはやや敷居が高かったかもしれない。

「蒼天」以降のダンジョンは基本的に一本道となり、その分道中のボスのギミックが多彩になった。初めてのダンジョンだからと初心者が挫折しないような工夫と思われる。この傾向は以降の紅蓮のリベレーター、漆黒のヴィランズにも受け継がれ、暁月のフィナーレにおいては修正パッチで変化した各ジョブのスキルを練習できるようなポイントもできた。
バトルコンテンツのデザインが試行錯誤されているのだろう。

極蛮神や機工城アレキサンダーでは、その後FF14で定番となる「頭割り」、塔ギミック、炎・氷等デバフによるグループ分担などが見られるようになる。紅蓮や漆黒で見られるボスごとの特殊フィールドを利用するような派手なギミックはまだ見られない一方で、タイムラインの記憶と正確な動きを全員で行うという地道な練習が必要になる戦いが多かったように思う。

この点については、アレキサンダー起動編:零式の実装当初、3層クリア者が292人、4層クリア者がなんと0人だったという伝説もある。
2022年1月パッチ6.05現在、万魔殿パンデモニウム:辺獄変の零式を実装15時間でクリアしたチームがいることを考えると、バトルコンテンツの難易度調整がいかに難しいことかが分かる。

dengekionline.com

 

総評 新規の間口を広げ、既存の遊びを深めた秀作

このように「蒼天のイシュガルド」は、重厚なメインシナリオの面白さに加え、「新生」などで懸念されていたプレイ面での課題を調整し、新規のプレイヤーはより参加しやすく、既存プレイヤーはより深く遊べるよう改良された秀作である。

一方で、「新生」でも言われていた「お使いクエスト」の存在は残っており、テンポ良く物語を進めたいプレイヤーにとっては気になるところだろう。また、2022年現在では先行プレイヤーとの装備・練度格差が大きく、8人レイドを実装当初のように楽しむにはPT募集が必要である点も変わらない(コンテンツファインダーで突入すると、カットシーン閲覧中に戦闘が後半まで進んでしまっていると言うことも……)。
新規ジョブである占星術師はエオルゼア12神を模したカードを利用して戦うHealerであるが、6.0を含めて複数の大型アップデートがあり、操作感がいまだ安定してないと見る向きもある。

このように、MMORPGで避けて通ることができない課題はあるものの、開発スタッフがフォーラム等の意見を聞き取りながら日夜改善に取り組んでいるであろう工夫も、それ以上に感じられる。
上記の短所も、本作の魅力を落とすものではないだろう。
気になっている方は是非プレイしてほしい。

2021年11月まで、無料トライアルとして本作を購入していないプレイヤーでも蒼天のイシュガルドクリアまでゲームを楽しむことができた。しかし、2022年1月12日現在では、暁月のフィナーレリリース直後にプレイヤー人口が大幅な増加したことから、無料トライアルは一時中断されている。

コロナ禍の半導体不足等の問題が片付くに連れ、いずれまた無料トライアルで楽しむことができる日がくるだろう。