【FF14】新生エオルゼアから漆黒のヴィランズまでの感想1_新生エオルゼア

前段

2020年9月からFF14を開始し、漸くパッチ5.3「クリスタルの残光」までシナリオをクリアすることができた。
6.0暁月のフィナーレEndwalkerまで、まだ後いくつかのパッチがあるが、物語としては一つの区切りがついたように思う。
足掛け1年余り、長い冒険であったが、それぞれとても感慨深い旅路であった。せっかくなので、ここまでのシナリオを含め感想を残したい。
※各シナリオについてネタバレに触れる可能性があります。未クリアの方はご注意ください。


新生エオルゼア

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冒険者としてエオルゼアに降り立った主人公が、各地で発生する事件の解決を図りながら、蛮神や霊災、エーテルといったエオルゼアを成り立たせる世界観の謎を、対蛮神組織「暁の血盟」と共に解き明かしていく。召喚される謎の蛮神、三国を脅かす帝国の侵攻、それらの裏で暗躍する謎の存在アシエンらを巡る大きな戦いに巻き込まれていく。


FF14ストーリーの開幕として相応しいスケール

シナリオの進行と共に明らかになっていく世界の仕組みと共に、次々と解放されていくIDや討滅戦といったインスタンスコンテンツ。ジョブチェンジやチョコボ、ミラージュプリズムなど、物語が進むほどできることが増えていく解放感は、MMORPGの幕開けに相応しい期待を与え続けてくれる。

初期装備に身を包んだ若葉マークプレイヤー、王冠のついたベテランらしきプレイヤー、広場で楽器や踊りを披露するRPプレイヤーなどエオルゼアに降り立って初めて目にする光景は、異世界の入口としてこれ以上に無いほどに壮観であった。

ストーリーとクエストのスケールの差

一方で、メインクエストの内容はやや小規模で単調なものもあった。特定のモンスターを倒しアイテムを回収してくるなど、90年代MMOのお約束的「お使いクエスト」は、物語のスケールの広がりに対してややギャップがあるようにも思う。
以後のアップデートではこうした傾向は大分改善されており、FF14黎明期の試行錯誤の跡と考えると、また違った感慨が得られるだろう。

暁の血盟というキャラクター達

また、シナリオの進行を主人公と伴奏する「暁の血盟」については、評価が分かれるかもしれない。エオルゼアでの霊災の再来を防ぐため、三国とは独立で戦う彼らではあるが、動機や背景に詳しく触れらる機会が少ない。登場人物が多い点も合いまって、新生のシナリオだけでは行動原理への理解が深められなかった。
魅力的なキャラクターたちであっただけに、この点については後のシナリオへ期待するところだ。
新生前の旧FF14をプレイしているかどうかも彼らの理解に関わってくるように思うが、現在そのシナリオをプレイする手段が無いのも惜しい。

これらは、新生のシナリオがキャラクターの掘り下げよりも世界観の説明を重視した結果と言えるかもしれない。
三国の代表者についても、それぞれが国で担う役割が強かったように思う。ナナモとラウバーンなどは見せ場の多さもあり、また彼女らの個人的な人間関係や弱さも垣間見え、カヌ・エ、メルウィブに比べ魅力的なキャラクターであった。

完成度の高いサブシナリオ

試行錯誤の見られるメインシナリオの一方で非常に完成度が高いと感じたのが、クリスタルタワー及び大迷宮バハムート関連だ。
両者ともシナリオの柱となるキャラクターが明確であり、彼ら彼女らの成長とシナリオの進行がつながっている。また、シナリオの最後では、彼らの現在に一つの結末が待ち受けており、物語として丁寧に完結している。
メインシナリオの試行錯誤が生かされた結果であるのかもしれない。

新規参加者を歓迎するゲームデザイン

他方、FF14のゲームデザインとして最も素晴らしいと思う点は、新規プレイヤーと継続プレイヤーが同時に遊んでも破綻をきたさないよう施された様々な工夫だ。

例えば、IDや討滅戦などのコンテンツに挑む際は、レベルシンク・アイテムレベルシンクにより、新規プレイヤーと上級プレイヤーはある程度ステータスが平準化される。

また2021年8月27日の公開サーバーテストでは、コンテンツ申請時のマッチングにおいて、若葉マーク(初心者プレイヤー)を優先的にマッチする仕組みが働いていることも示唆されていた。

「暁月のフィナーレ」に向けた公開負荷テストおよび生放送実施 8月27日(金) | FINAL FANTASY XIV, The Lodestone


レベル50以降は装備によるステータス補正が非常に大きくなる。最新環境での装備を入手するには時間と手間がかかるが、一定程度パッチが進行すると新規プレイヤーでも比較的容易にそれらが入手可能となるよう条件が緩和される。

大型パッチが充てられる際は、操作環境や各ジョブのスキル等に大幅な改修が入ることも多い。ジョブによってはパッチ毎に改めて操作を覚えなおす必要が発生することもあるが、それらは複雑な仕様をシンプルなものへ置き換える方針で統一されている。

このような様々な工夫により、新規プレイヤーでも経験者とある程度同等に遊ぶことができるように作られている。

FF14以前のMMORPGでは、開始から1年も経ってしまうと、新規プレイヤーと先発プレーヤーが同じ土俵で楽しむことは非常に難しかった。
(初期のウルティマオンラインなどでは、初心者だと見抜かれた瞬間に他のプレイヤーからキルされ、持ち物を軒並み奪われていた。何が起こったかも分からず、自分の死体を回収するために殺害現場に戻ると、姿を消すスキルを使用して待ち構えていたプレイヤーキラーに再度キルされるという地獄のような光景が度々あったように思う)

とはいえもちろん限界もある。例えば新生での最初の8人コンテンツであるリットアティン強襲戦は、主人公らの目の前に現れた初めての帝国猛者とのバトルとして描かれるが、2021年9月現在戦闘は数十秒から数分で終わってしまう。
新生終盤の戦闘では、このようにプレイヤーらのILが上がりすぎたために生じてしまうシナリオとの温度差が複数見られるが、大きく気になるのはそれらくらいだった。
※なおリットアティン強襲戦はパッチ6.0~で何らかの仕様変更が行われる模様

これは、FF14が継続プレイヤーと新規プレイヤーを同じくらい大切にしようとしてきた姿勢によるものだと思う。繰り返しになるが、この点において既存のMMOでFF14に比肩するものはいまだ見たことがなく、唯一無二といえる。
今なお本作の新規ユーザーの拡大が続いているのは、このような継続した努力によるものではないだろうか。

総評

ストーリーとメインクエストのスケール感のギャップ、主要キャラクターたちである「暁の血盟」の掘り下げ不足等、気になる点はあるものの(それも今後改善される)、未知の世界へのワクワクした高揚感と、新規プレイヤーを大切にする親切なゲーム設計が随所から感じられ、FF14の導入として相応しい作りであった。
シナリオ面では、特に新生終盤から蒼天のイシュガルド導入は波乱に満ち、世界が広がる期待と待ち受ける不安を感じさせる素晴らしい展開であった。

(続く)