【FF14】ゲームパッドからキーボード・マウス操作への移行はゲームを自分の一部に変えていく楽しさに通じる

FF14を取り巻く操作環境

FF14のPC版(Windows版)は、特殊な外部デバイスを利用したり、デスクトップ上で他のプログラムを並行して操作できるなど、PS4等の家庭用ゲーム機と比較すると拡張性が高い。

4Gamer.netのインタビューなどを見ると、プロデューサーの吉田氏がいわゆる「左手デバイス」と呼ばれる GXT 888 Assa Single Handed Keyboardを操作する様子もある。

www.4gamer.net

同ページで紹介されているように、外部デバイスだけでも、ゲーミングキーボード、多ボタンマウス、左手デバイス等さまざまな種類があり、そのうち一部はスクウェア・エニックスより推奨されているものもある。

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PC環境下に限られてはしまうが、FF14のプレイングの幅広さが積極的に拡大されており、本作の魅力にもつながっている。

PCプレイヤーとしては、こうした取り組みにはぜひ参加をしてみたいところ。
そこで、プレイと並行して使用環境について調べつつ、取り入れられそうなものを様々試してみることにした。


ゲームパッド操作からキーボード・マウス操作への移行

 今回は、ゲーム開始時から使っていたゲームパッドから、キーボードとマウスを使ったプレイスタイルへの転向に取り組んだ。
実際のところ、ゲームパッドからキーボードへ移行して3か月ほど経過したが、慣れるまでとても大変だった。
場合によってはまったく普段通りの動きができず、難易度の高いコンテンツでは、その都度キーボードからパッドへ設定を変更し持ち替えるなどしていたくらいであった。
それでも現在はキーボードとマウスを中心にしており、非常に快適にプレイしている。

 

操作モードの切り替え設定

操作モードの切り替えには、ゲーム中の「システムメニュー」を選択し、そのうちの「キャラクターコンフィグ」を使用する。

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▲ゲームパッド操作モードが選択された状態

今回はマウス操作モードを選択し、メニュー右下の「適用」を選択。
これで操作モードが変更され、キーボードとマウスを中心とした操作環境に設定が変更される。

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▲マウス操作モードが選択された状態

操作上の大きな変更点

大きな変更点はいくつかある。
その一つは「ダイレクトチャット」の無効化だ。
操作モードを切り替えると、ゲームパッドでは有効化されていた「ダイレクトチャットモード」が自動的にオフにされる。

ゲームパッド使用時には、キーボードを操作すると自動的にチャット入力欄に文字が入力されていた。

しかし、マウス操作モードでは、キーボードを操作してもチャットの入力は起動せず、代わりにキーボードの各キーに割り当てられていた操作が実行される。例えば「B」を入力すると所持品Inventryが、「I」ではコンテンツファインダーContents Finderの画面が起動される。
チャットの入力をしたい場合は、一度「Enter」を押してから文章を入力する必要がある。
これは慣れるまで大変なポイントの一つで、チャットをするときにEnterを押し忘れたままキーボードを叩き、勝手にウインドウがたくさん開いたりキャラが走り出してしまったりする。ボス戦の直前でやってしまうと、仲間に結構な迷惑をかけてしまう……。


第二に、ダイレクトチャットモードの無効化に伴い、移動方法も変化する。
キャラクターの移動は、キーボードの「W」「A」「S」「D」をメインで使用する。これは1980年代以降のPC用オンラインゲームで多く採用されている移動方法で、「WASD移動」などと呼ばれることもある。
マウスで前進することもできるが、こちらをメインとして使用することの方が多い。
他、ジャンプは「Space」、決定はマウスの左クリック、キャンセルや画面を閉じる際は「Esc」を使用する。

スキルは、初期設定では数字の1~9、0,-,^を使用する。
文章では分かりづらいが、写真に落としこむと次のようになる。

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FF14のスキルホットバーは、初期設定では横長のバーに12個のスキルをセットできるが、これはキーボードでの操作を前提としていたからと思われる。その他、細かい操作方法は公式の開設が分かりやすい。

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キーボード・マウス操作によるターゲット指定の改善

操作方法が大きく変わるため、キーボードを使った操作に慣れるのはなかなか根気とがいる。一方で、変更して感じたメリットも多くある。

第1に、ターゲット指定が直感的である。
コントローラーでは方向キーの左右で敵対キャラクターの指定、上下でパーティーリストからの指定を行う。
この際、敵を選択する場合は自キャラクターの位置や視界によってターゲットカーソルの順序が変わるため、敵対Mobが急遽発生した場合等に、カーソルが迷ってしまうことがある。
マウスなら画面にできてきた敵をクリックすればターゲットすることができる。また、敵キャラクターの姿が視界内になくても、敵対リストの名前をクリックすることでも選択できる。
これは特にタンクプレイヤーにとって大きなメリットになり得るだろう。

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▲複数のボスとの戦闘時に、タンクで担当を分ける際などにも便利

また、24人レイドに参加しているヒーラーにとっても同様と言える。
所属アライアンスが異なるプレイヤーはコントローラーの上下ではターゲット指定できない。
そのため、目の前で戦闘不能になっていたり、即死攻撃の範囲から逃げ遅れたプレイヤーがいたとしても、ターゲットに手間取り蘇生魔法や「救出」の使用機会を逃してしまうことが往々にある。
そうした時も、画面上の倒れているプレイヤーや、アライアンスのPTリストからターゲット指定を取れることは、操作上の大きなメリットと言える。
ここでは詳細には触れないが、MouseOverというコマンドを利用したマクロを使えば、ターゲット指定時のクリックすら省略することもできるため、操作速度の向上にもつながる。

さらに、HUDを利用すると操作環境を更に自分にあったものにもできる。
例えば、敵対リストの付近に「挑発」を配置したり、PTリストやアライアンスリストの付近に蘇生魔法や「エスナ」などを配置することで、クリック操作をより直感的にすることも可能だ。

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▲HUDを利用したマウス操作用ホットバーの配置例。PT,アライアンスのリストの付近に専用ホットバーを置くことで、マウスの移動を少なくする

また、学者のスキル「野戦治療の陣」Sacred Soilや、忍者の「縮地」Shukuchiなど、キャラクターではなくフィールドをターゲットとする「グラウンドターゲット」方式も操作が簡便になる。パッドでは左スティック操作が必要だが、マウスではそのまま画面をクリックすれば良い。

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▲FinalFantsy The Lodestone UIガイドより

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その他にも細かい利点

その他、細かい点では画面上のアイコンをクリックしたり、カーソルを合わせることで解説を読むことができるのも嬉しい。

IDやレイド、蛮神コンテンツでは、自身に付与されたバフステータス等の解説をみるとギミックの対処方法に見当が付くものも多いため、初見攻略時の大きなヒントになる。

もちろん、パッド操作モードでもマウスを使用してこうした使い方をすることもできる。ただし、ゲームパッドから手を離してマウスに持ち替える必要があり、少々煩雑になる。最初からマウス操作であればワンストップで操作可能だ。

これらに加えて、冒頭でも述べたように、テンキーや多ボタンマウス、左手デバイスといった外部装置による操作環境の拡張も可能だ。また、キーバインド機能による操作キーのカスタマイズにより、重要な機能を必要な個所に配置し、自分自身が操作しやすい環境をとことん追求できる。
これについては、記事が長くなってしまったので別エントリーで記載したい。

ゲームパッドとキーボード・マウスは一長一短である

以上、キーボード・マウス操作の利点を強調してきたが、もちろんゲームパッドの良い点も多い。

十字キーやスティック、決定ボタンなど、コンシューマー機全般で操作環境が統一されているため、家庭用ゲーム機に慣れたプレイヤーにとっては非常に扱いやすい。

特にパッドが優れていると感じるのは、右スティックでカメラを操作しつつ左スティックで移動するというように、カメラ移動と移動を同時にできる点だ。
これをキーボードとマウスで再現するのは難しく、特にWASD移動に慣れないうちは視界の確保にも苦労する。

また、ホットバーを2セット同時に使用できる「ダブルクロスホットバー」を設定することにより、パッドでも最大32個のスキルをセットすることができる。スキルに関して使用ボタンが不足するという事態はほとんどなくなったのではないだろうか。

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▲筆者がゲームパッドで操作をしていた際の配置例。戦闘中に使用するスキルはダブルクロスホットバーに配置し、戦闘開始前など使用タイミングが限られるもの、機会が多いものは近くに設置してマウスで操作していた。これによる不便はほとんどなかった。(操作が下手で戦闘不能にはなっているが…)

また、現段階では発展途上ではあるようだが、マウスと同様に多ボタンゲームパッドも販売されており、デバイス上での拡張も可能性が広がっている。

個人的な感想としては、ボタン操作自体はキーボード・マウス操作の方がスピードが遅くなってしまったように感じる状況もある。マウスを画面上で移動させる必要があるため、カーソルの移動時間、またターゲットを狙ってクリックする作業が必要だからだ。
混戦時にはマウスカーソルを見失ってしまうこともある。

できることが増えるということは判断が必要な個所が増えるということでもあり、例えば、マウスクリックでスキルを使用すべきか、キーボード操作で使用すべきか判断が必要なタイミングもある。
一瞬の判断に迷ってしまい、使用すべきスキルなどを誤ってしまった時など、一緒に遊んでくれているプレイヤーに申し訳ない気持ちになってしまったこともあった。

ここが最も肝心な点だが、キーボード・マウス操作に慣れるまで(パッドと遜色のないプレイができるようになるまで)には、1日1~2時間ほどのプレイで、2~3週間ほど必要だった。
IDに行った際など、FF14を始めたばかりのころのように緊張し、自身の操作に愕然とした程だった…。
練習に付き合ってくれる仲間がいてくれると、苦しくも楽しく練習できるはずだ。

試行錯誤と工夫で操作環境を自分のものしていく過程こそ何よりの楽しみ

以上のように考えると、キーボード・マウス操作が、パッドよりもプレイ上とりわけ優位だとは言えないように思う。
どちらも一長一短であり、それぞれで快適にプレイできるよう、FF14の操作環境と設定の自由度は洗練されている。この点に関して、FF14に比肩するソフトウェアはまだ見たことがない。この意味において、パッド操作、キーボード・マウス操作それぞれのユーザーインタフェースを体験できたのは、個人的にとても良い経験であった。

ストーリーの良さやRPGとして楽しさはもちろんのこと、それまでの敵に苦戦して1から修業をし直すという初心に帰る感覚、加えてキーボードや多ボタンマウス、テンキーを自分の扱いやすい、独自のものへ少しずつ整えていき、ゲームを自分の一部にしていくという過程、これこそが本作の最大の魅力の一つだと改めて感じた。